DVD
発売元:台湾映画同好会
販売元:株式会社アシスト
発売予定日:2022年11月14日
定価:4,500円+税
[時間] 88分(本編映像)
[特典映像]日本劇場予告編
[音声]オリジナル台湾語・中国語
[字幕]日本語・繁体字中国語・英語
カメラの前なら、
「言える」「聞ける」こともある
ひとつ屋根の下、
赤の他人のように暮らす母と私。
母の作る料理以外に、
私たちには何の接点もない。
ある日、私は勇気を出して、
母と話すことにした。
私はビデオカメラを回し、
同性愛者である母の思いを記録する。
そして私も過去と向き合い、
ある秘密を母に伝える…。
台湾発・娘がカメラを手に
レズビアンである母の本音に迫る、
入魂のドキュメンタリー
★第67回ベルリン国際映画祭パノラマ部門テディ賞(ドキュメンタリー映画部門)受賞
★第19回台北映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞
★第90回アカデミー賞®外国語映画賞台湾代表作品
[解説]
2019年にアジアで初めて同性婚が合法化され、ジェンダー平等についてもアジアでトップとされる台湾。だが、1950年代の農村に生まれた母がすごしてきたのは、父親を中心とした「家」の制度が支配する保守的な社会だった。娘で本作の監督ホアン・フイチェンは母親の生業であり、消えゆく台湾土着の葬送文化<牽亡歌陣>とともに、レズビアンである母の、ありのままの姿を映像に収め続ける。多くを語りたがらない母に、娘が口に出せずにいた想いをぶつけるとき、世代や価値観を越えてふたりが見つけ出した答えとは──?
世界の巨匠ホウ・シャオシェン(侯孝賢)(『悲情城市』ほか)が製作総指揮を務め、ホウ作品をはじめ、中華圏の名だたる映像作家に楽曲を提供しているリン・チャン(林強)が音楽を担当。2017 年にベルリン国際映画祭のパノラマ部門 でテディ賞に輝き、台湾のドキュメンタリー映画としては初めてアカデミー賞®外国語映画賞(現・国際長 編映画賞)に台湾代表作品として正式出品された。日本ではNHK 国際との共同制作でテレビ向けに編集された『母と私(原題:我 和我的 T 媽媽)』(2016)が<BS 世界のドキュメンタリー>で放映されている。ホアン・フイチェン著、書籍「筆録 日常対話 私と同性を愛する母と」(発行:サウザンブックス社)が好評発売中。
劇場パンフレット
B5ヨコ・28ページ(表紙込み)
発行日:2021年7月31日
発行者:台湾映画同好会
編集:小島あつ子
デザイン:秋山京子
定価1,000円(税込)+送料 ※詳細はお問い合わせください
[コンテンツ]
interview「ホアン・フイチェン監督ロングインタビュー」
review「母は同性愛者だった」川本三郎(映画評論家)
review「私たちの心の中にいる泣いている小さな女の子だった私を、いつか優しく抱きしめるための対話」北原みのり(作家・アジュマブックス/ラブピースクラブ代表)
review「家族になろうとする努力」北丸雄二(ジャーナリスト・コラムニスト)
review「感情の供養」栖来ひかり(文筆家・道草者)
column「牽亡歌陣について」
review「自分たちの物語を紡いで~台湾ドキュメンタリーの姿~」稲見公仁子(台湾映画研究家)
review「熟成のセルフドキュメンタリー『日常対話』」佐藤寛朗(neoneo編集室)
interview「なぜ台湾はアジアで初めて同性婚を実現できたのか?」鈴木賢(明治大学法学部教授)/聞き手・宇田川しい(ライター、編集者、ゲイ・アクティビスト)
書 籍
『筆録 日常対話 私と同性を愛する母と』
ホアン・フイチェン (著)
小島あつ子(翻訳)
発行:サウザンブックス社
四六判 224ページ 並製
ISBN:978-4-909125-30-9
出版日:2021年7月27日
価格:2,500円+税
これは私の母の物語。
古いしきたりの残る農村に生まれた母は、伝統的なものから外れた女性だった。
母が女の人を好きだということに気がついたのは、私が7歳の頃。
そして今「おばあちゃんは男なの?女なの?」という七歳になった姪っこの問いに説明できない自分がいた。
映画『日常對話』の監督が、母親を中心とする家族の物語を文字で編んだ、もうひとつのセルフ・ドキュメンタリー。
小学校すら卒業できなかった不遇の子供時代。そして、著者が誰にも明かせなかった、父親から受けていたある虐待の記憶は、いつしかかたちを変え、著者と母親の間の埋められない深い溝となる。そんな母親と向き合い、関係を修復するために作られた入魂の作品。
[目 次]
はじめに──傷を恥じることはない
第1章 同性を愛する私の母・阿女
──1956年生まれの著者の母アヌは雲林の小さな農村で生まれ育ち、14歳で台北へ出稼ぎに出た。男尊女卑の考えが根強い、伝統的な男性中心の家制度が当たり前だった農村で過ごしたアヌの幼少期に始まり、台北での初恋と失恋、夫・阿源との見合い結婚、そして牽亡歌陣団を立ち上げてから、32歳で娘二人を連れて家を逃げ出すまでを描く。
第2章 不存在の父・阿源
──父・阿源は塗装工の日雇い労働者として働いていたが、稼いだ金は家に一銭も入れず、酒と賭博に使い果たした。アヌから金を巻き上げ、激しい暴力を振るっていた父から、著者も虐待を受けていた。家を逃げ出した後も、阿源の影におびえながら生活するアヌと娘たち。著者は成人ののち、叔父からの連絡で、父が自殺したことを知る。
第3章 私の妹・阿娟
──著者の2歳年下の妹・阿娟は、母アヌに代わり著者が面倒を見てきた。共に過ごした幼い日の思い出。やがて「家庭」への強いあこがれから若くして結婚を決意する阿娟に対し、複雑な思いを抱く著者。さらに母の作った借金を目の前に、著者は住んでいたアパート屋上の給水塔の上へと登り…。
第4章 同性を愛する母と女性たち
──母アヌは「女性が好き」であることを周りに隠すことはなかった。仕事や生活を共にし、著者と妹の面倒を見てくれた8人のアヌの女性たち。それぞれの事情を抱えた彼女たちから、女性の様々な生き様が見えてくる。
第5章 記憶の中の家
──娘たちを守るため、着の身着のままで家を飛び出した母娘。家族が暮らしていた家と、そこに置き去りにした物について、記憶をたどる。
第6章 私と私自身のこと・阿偵
──家計を助けるために6歳で家業の手伝いを始めた著者は、10歳の時に母アヌと妹と共に家を逃げ出す。DVシェルターなど無かった時代。父・阿源に行き先を知られないために、著者は身分を証明することができず、小学校にも通うことができなかった。やがて大人になった著者は、あることがきっかけとなり、自分の家族について、映像記録を残すことを決意する。著者自身が自分の半生を振り返る。
あとがきにかえて ディレクターズノート
──台湾で同性婚の合法化に向かって議論の進んでいた2013~2014年を背景に、撮影を通し、著者は母について、生まれ育った環境について思いを巡らせる。
訳者あとがき